ゴールデングラブ賞とは?選考基準や過去の受賞者もまとめて解説
ゴールデングラブ賞(正式名称:三井ゴールデン・グラブ賞)は、三井広報委員会が提供し、毎シーズン終了後にセ・パ両リーグの各ポジションで卓越した守備を見せた選手を表彰する賞です。
「守備のベストナイン」とも呼ばれ、プロ野球選手にとって守備面の最高の栄誉とされています。
この記事では、ゴールデングラブ賞の概要・歴史・選考基準・2025年度の受賞者・歴代記録をまとめて解説します。
ゴールデングラブ賞とは
ゴールデングラブ賞は、プロ野球(NPB)のセ・リーグとパ・リーグそれぞれで、各ポジションの守備に最も優れた選手を選出する年間表彰です。
毎シーズン終了後に発表され、セ・パ各リーグで投手・捕手・一塁手・二塁手・三塁手・遊撃手・外野手3名の、原則として合計9名が選出されます。
ゴールデングラブ賞の歴史
1972年、三井物産スポーツ用品販売の申し入れにより、「ダイヤモンドグラブ賞」として創設されました。
1986年に三井広報委員会が提供を引き継ぎ、現在の「三井ゴールデン・グラブ賞」へ改称されました。守備の名手をたたえる賞として、2025年度に第54回を迎えています。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1972年 | 「ダイヤモンドグラブ賞」として創設 |
| 1986年 | 「三井ゴールデン・グラブ賞」に改称 |
| 2025年 | 第54回を迎える |
ベストナインとの違い
ゴールデングラブ賞はしばしばベストナインと混同されますが、評価の軸が異なります。ベストナインが攻守両面の成績を総合的に評価するのに対し、ゴールデングラブ賞は守備力を主な評価基準として選手を選出します。
そのため、打撃成績が振るわなくても守備の貢献が高く評価されれば受賞できる賞です。
| 表彰 | 評価の軸 | 選出人数 |
|---|---|---|
| ゴールデングラブ賞 | 守備力を主に評価 | 原則各リーグ9名 |
| ベストナイン | 攻守両面の総合評価 | セ9名、パ10名(DHを含む) |
守備と打撃の両方で抜きんでた選手は、両賞を同時に受賞するケースも珍しくありません。一方で、守備の名手が打撃不振によりベストナインを逃しながらもゴールデングラブ賞を受賞する例もあります。
MLBのゴールドグラブ賞との違い
MLBにも守備表彰として「ゴールドグラブ賞(Gold Glove Award)」があります。NPBの「ゴールデングラブ賞」とは名称が似ていますが、別の賞です。主な違いは以下のとおりです。
| 項目 | NPBゴールデングラブ賞 | MLBゴールドグラブ賞 |
|---|---|---|
| 創設 | 1972年 | 1957年 |
| 選考方法 | プロ野球担当記者の投票 | 監督・コーチの投票に加え、アナリティクス指標を組み合わせた選考 |
| 対象 | NPB(日本プロ野球) | MLB(メジャーリーグ) |
ゴールデングラブ賞の選考基準
受賞者の選考は、各リーグで5年以上プロ野球の現場取材を主に担当している新聞社・通信社・テレビ局・ラジオ局の記者による投票で行われます。有効票の最多得票者が、原則として各ポジション1名、外野手は3名選ばれます。
最多得票が同数の場合は、同一ポジションから複数の受賞者が出ることもあります。ポジションによって出場条件(有資格条件)が異なります。
投手
規定投球回数(チームの試合数と同数のイニング)以上を投球していること、またはチーム試合数の3分の1以上の試合に登板していることが条件です。先発・リリーフを問わず有資格となり、登板数の多いリリーフ投手も対象となります。
捕手
チームの試合数の2分の1以上の試合に、捕手として出場していることが条件です。捕手は投手のリードや配球、盗塁阻止など守備上の役割が多岐にわたるポジションです。
内野手
一塁手・二塁手・三塁手・遊撃手の4ポジションそれぞれで、チームの試合数の2分の1以上の試合に同一ポジションとして守備についていることが条件です。各ポジションで1名ずつ選出されます。
外野手
チームの試合数の2分の1以上の試合に、外野手として出場していることが条件です。外野手はレフト・センター・ライトのポジションを問わずまとめて「外野手」として扱われ、各リーグで3名が選出されます。
2025年度のゴールデングラブ賞の受賞者
2025年度(第54回)の受賞者は、シーズン終了後に発表されました。セ・リーグでは阪神タイガースから両リーグ最多となる7人が選出され、パ・リーグでは複数球団に受賞者が分かれました。
セ・リーグ
阪神タイガースから、投手・捕手・一塁手・二塁手・三塁手の5部門に加え、外野手2人の計7人が選出されました。7人受賞は球団最多で、セ・リーグの同一球団最多記録も更新しています。外野手の近本光司は5年連続5回目の受賞となりました。
| ポジション | 選手名 | 球団 |
|---|---|---|
| 投手 | 村上 頌樹 | 阪神タイガース |
| 捕手 | 坂本 誠志郎 | 阪神タイガース |
| 一塁手 | 大山 悠輔 | 阪神タイガース |
| 二塁手 | 中野 拓夢 | 阪神タイガース |
| 三塁手 | 佐藤 輝明 | 阪神タイガース |
| 遊撃手 | 泉口 友汰 | 読売ジャイアンツ |
| 外野手 | 岡林 勇希 | 中日ドラゴンズ |
| 外野手 | 近本 光司 | 阪神タイガース |
| 外野手 | 森下 翔太 | 阪神タイガース |
パ・リーグ
投手の伊藤大海(北海道日本ハムファイターズ)が初受賞。外野手の辰己涼介(東北楽天ゴールデンイーグルス)は5年連続5回目の受賞を達成しました。
| ポジション | 選手名 | 球団 |
|---|---|---|
| 投手 | 伊藤 大海 | 北海道日本ハムファイターズ |
| 捕手 | 若月 健矢 | オリックス・バファローズ |
| 一塁手 | T.ネビン | 埼玉西武ライオンズ |
| 二塁手 | 牧原 大成 | 福岡ソフトバンクホークス |
| 三塁手 | 村林 一輝 | 東北楽天ゴールデンイーグルス |
| 遊撃手 | 紅林 弘太郎 | オリックス・バファローズ |
| 外野手 | 周東 佑京 | 福岡ソフトバンクホークス |
| 外野手 | 辰己 涼介 | 東北楽天ゴールデンイーグルス |
| 外野手 | 西川 愛也 | 埼玉西武ライオンズ |
ゴールデングラブ賞に関するよくある質問
ゴールデングラブ賞の歴代記録についてよく寄せられる質問を3つまとめました。
ゴールデングラブ賞の最多受賞者は?
通算受賞回数で最多となるのは、阪急ブレーブス(現・オリックス)の外野手・福本豊で、12回受賞しています。
圧倒的な走力と広い守備範囲で「世界の盗塁王」とも呼ばれた福本は、外野守備においても別格の評価を受け続けました。
ポジション別の最多受賞者は以下のとおりです。
| ポジション | 最多受賞選手 | 受賞回数 |
|---|---|---|
| 投手 | 西本聖・桑田真澄 | 各8回 |
| 捕手 | 伊東勤 | 11回 |
| 一塁手 | 駒田徳広 | 10回 |
| 二塁手 | 菊池涼介 | 10回 |
| 三塁手 | 松田宣浩 | 8回 |
| 遊撃手 | 山下大輔 | 8回 |
| 外野手 | 福本豊 | 12回 |
複数のポジションでゴールデングラブ賞を受賞した選手は?
通常は同一ポジションでの受賞が多いですが、現役中にポジションを移した選手が複数のポジションで受賞する例もあります。
代表的なのは宮本慎也(ヤクルト)です。遊撃手として6回、三塁手として4回の計10回受賞しており、2つのポジションにわたる受賞として知られています。
また立浪和義(中日)は遊撃手・二塁手・三塁手の3ポジションで受賞した選手で、内野の複数ポジションを守れる技術の高さを示しました。
10代でゴールデングラブ賞を受賞した選手は?
プロ1〜2年目の若手選手がゴールデングラブ賞を受賞するのは異例で、10代での受賞者は歴史的にもごくわずかです。確認できる10代受賞者は以下の3選手です。
| 選手名 | 球団 | 受賞年 | 年齢 | ポジション |
|---|---|---|---|---|
| 桑田真澄 | 読売ジャイアンツ | 1987年 | 19歳 | 投手 |
| 立浪和義 | 中日ドラゴンズ | 1988年 | 19歳 | 遊撃手 |
| 松坂大輔 | 西武ライオンズ | 1999年 | 19歳 | 投手 |
立浪和義と松坂大輔はルーキーシーズン、桑田真澄は入団2年目に受賞しました。いずれも10代でありながら、プロ入り直後から守備面でも高く評価された選手です。