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アディショナルタイム(ロスタイム)とは?長くなる理由と決め方を解説

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サッカーの試合でよく耳にする「アディショナルタイム」。後半終了間際に電光掲示板に表示される数字が、試合の最終結果を大きく左右することは珍しくありません。

ゴールが決まったり、逆転されたりと、最も劇的な瞬間が生まれやすい時間帯です。

本記事では、アディショナルタイムの定義や決め方の仕組みから、日本代表が経験した歴史的な試合事例、よくある疑問への回答まで、まとめて解説します。

アディショナルタイムとは

アディショナルタイムとは、サッカーの試合中に競技が中断していた時間を補うために、前後半の終了後に延長される時間のことです。「アディショナル(additional)」は英語で「追加」を意味します。

サッカーは前半45分・後半45分の計90分制ですが、試合中は選手交代・負傷の手当て・ゴール後の喜びのパフォーマンス・VAR確認などによって競技が中断します。競技規則で定められた中断や再開の大幅な遅れを補うために、前後半それぞれの終了後に時間を追加するのがアディショナルタイムの目的です。

アディショナルタイムの基本ルール

アディショナルタイムは、競技規則(IFABが制定)に基づいて運用されています。「何分追加するか」「誰が決めるか」「どう計測するか」など、知っておくと観戦がより楽しくなるルールを確認しましょう。

アディショナルタイムを決めるのは主審

アディショナルタイムの長さを最終的に決定するのは主審(レフェリー)です。競技規則では「試合の前後半それぞれで失われた時間を主審が判断し、追加する」と定められており、最終的に決定するのは主審ですが、ほかの審判員が時間の記録などで補助することがあります。

主審は試合中に中断時間を随時計測し、前後半の終了時にその合計をもとにアディショナルタイムを算出します。VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の確認時間など、テクノロジーの導入によって計測項目が増えたことで、近年はアディショナルタイムが長くなる傾向があります。

アディショナルタイムはどのように計測されるか

IFABの競技規則は主審が「時計」を使用することを定めていますが、アディショナルタイムの具体的な計測方法はルールで統一されていません。

主審は選手交代・負傷対応・VAR確認などの中断が発生した際に、ストップウォッチ機能などを使ってその時間を記録し、積み重ねをもとにアディショナルタイムを判断します。

主審によっては複数の時計を使い分けて中断時間を記録することがありますが、「2本の時計の差をそのまま追加する」という機械的な計算方法が定められているわけではありません。通常のスローインやゴールキック、フリーキックの再開にかかる時間のすべてを秒単位で補填する制度でもなく、主審がさまざまな状況を総合的に判断してアディショナルタイムを決定します。

アディショナルタイムの上限と下限は設定されていない

競技規則上、アディショナルタイムに上限も下限も定められていません。追加すべき中断が発生しなければ0分で終わることもあれば、競技規則上、45分を上限とする規定もありません。

現実には数分程度が大半ですが、試合中に大規模な負傷対応が発生した場合など、例外的に長い時間が追加されるケースもあります。

「アディショナルタイムは最大5分」「10分を超えることはない」などの誤解が見られますが、これらはルールとしては存在しません。

アディショナルタイムは表示ぴったりではない(知らせる時間は最小限の時間)

試合を観戦していると、第4審判員が電光掲示板で「+5」などの数字を掲げるシーンをよく見かけます。しかし、この表示はアディショナルタイムの「最小限の時間(下限)」を示すものです。

電光掲示板に表示されたアディショナルタイムは「少なくともこれだけは追加する」という下限です。主審は表示時間より長くプレーを続けることができますが、短くすることはできません。

追加時間が始まった後にも負傷対応・選手交代・VAR確認・ゴールセレブレーション・時間稼ぎなどが発生した場合、その分がさらに上乗せされます。

また、追加時間終了前にPKが与えられた場合は、PKが完了するまで前後半を延長します。表示が「+5」でも実際には6分30秒以上プレーが続くことは珍しくなく、試合終盤の緊張感をより高める要因となっています。

アディショナルタイムが最終結果に影響を与えた試合

アディショナルタイムは試合の流れを一瞬で変えることがあります。日本代表が当事者となった、歴史に残る3つの事例を紹介します。

W杯アジア地区最終予選(日本対イラク戦)

出典:テレビ朝日スポーツ【公式】

1993年10月28日、カタールのドーハで行われた1994年アメリカW杯アジア最終予選の最終戦。「ドーハの悲劇」として今も語り継がれる一戦です。

日本はこの試合に勝利すれば1994年W杯初出場が決まる状況で、後半アディショナルタイムに入るまで2-1のリードを保っていました。ところが、後半アディショナルタイムに入ったところでイラクに同点ゴールを決められ、試合は2-2のドローに。これにより日本は得失点差でW杯出場権を逃しました。

「あと数秒で終わっていれば」という悔恨が国民的な記憶として刻まれ、日本サッカー史上最も有名なアディショナルタイムの失点として語り継がれています。

2018年W杯ラウンド16(日本対ベルギー)

出典:クラックフットボール

2018年7月2日、ロシア・ロストフ・ナ・ドヌで行われた2018年W杯ロシア大会の決勝トーナメント1回戦。「ロストフの悲劇」と呼ばれる試合です。

日本は後半に原口元気・乾貴士のゴールで2-0とリード。しかしベルギーが怒涛の反撃を見せ、後半74分までに2-2に追いつかれます。そして後半アディショナルタイム4分(94分)、日本がゴールを狙って蹴ったコーナーキックをクルトワにキャッチされ、デ・ブライネへのパスからカウンターを仕掛けられます。最後はシャドリが決勝ゴールを沈めて2-3と逆転。延長戦突入まであとわずかという状況から、コーナーキックの直後にカウンター一発で逆転されるという残酷な幕切れとなりました。

「ロストフの悲劇」として日本サッカー史に刻まれたこの試合は、アディショナルタイムに試合の結末がひっくり返る恐ろしさを体現した象徴的な一戦です。

2026年W杯ラウンド32(日本対ブラジル)

出典:DAZN Japan

2026年北中米W杯の決勝トーナメント1回戦(ラウンド32)。グループFを突破した日本代表は、世界最多5回の優勝を誇るブラジル代表と激突しました。

試合はグループFを2位で通過した日本が積極的なプレスで主導権を握り、前半29分に佐野海舟のゴールで先制。後半56分にカゼミーロに同点ゴールを決められ、一進一退の攻防が続きます。勝敗が決したのは後半アディショナルタイム5分(90+5分)。ガブリエウ・マルティネッリがゴールを決め、ブラジルが2-1で逆転勝利を収めました。日本は世界の壁をあと一歩まで追い詰めながら、最後の最後に力尽きるという形での敗戦となりました。

W杯本番で世界強豪を土俵際まで追い詰めたこの試合は、日本が優勝5回のブラジルを最後まで苦しめた一戦となりました。

アディショナルタイムに関するよくある質問

アディショナルタイムに関するよくある質問を集めました。

アディショナルタイムの平均時間は?

試合全体の平均は時代とともに大幅に伸びています。かつては前後半合わせて数分程度が一般的でしたが、VARの導入、選手交代枠の拡大(1試合最大5人)、ゴールセレブレーションの長期化などを背景に増加が続いています。

2022年カタールW杯では、後半のアディショナルタイムが大会平均で7分を超えました。前後半合計では10分を超えることも珍しくなく、2026年北中米大会でも同様の傾向が続いています。

アディショナルタイムの世界最長記録は?

プロサッカーの最長記録として広く知られているのが、2019年にイングランドで行われたEFLカップ(カラバオカップ)のバートン・アルビオン対ボーンマス戦で記録された28分です。

試合中に照明設備が3度にわたって停止し、復旧を待つ時間がそのまま追加されました。

アディショナルタイムとロスタイムは何が違う?

アディショナルタイムとロスタイムは同じ意味です。

「ロスタイム」は日本で長く使われてきた呼び方で、「失われた時間(lost time)」を補うという意味合いから生まれた和製英語です。

現在ではJFAや多くのテレビ中継で「アディショナルタイム」が主に使われており、「ロスタイム」という表現も引き続き通じますが、正式な場面では「アディショナルタイム」が適切です。