バレーボール

バレーボールのローテーションとは?仕組みと反則

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バレーボールの試合を観ていると、相手からサーブ権を奪った際に選手が一斉に位置を移動する場面があります。

これが「ローテーション」と呼ばれるルールです。ローテーションはバレーボールの戦術の根幹であり、サーブを打つ順番を決めるだけでなく、チームの攻守の組み立てにも深く関わっています。

この記事では、バレーボールのローテーションの仕組みや反則、そして観戦時に疑問に感じやすいポイントをわかりやすく解説します。

バレーボールのローテーションとは

ローテーション(rotation)とは、相手チームがサーブしているラリーで自チームが得点し、サーブ権を得たときに、コート上の選手が時計回りに1ポジションずつ移動する仕組みです。

FIVB公式ルール7.6.2でも、レシーブ側がサーブ権を獲得した際に時計回りに1ポジション回ると定められています。

このルールがあることで、一般の選手を前衛または後衛だけに固定することはできません。守備専門のリベロは例外で、後衛の選手と交代してプレーします。ローテーションはプレーに一定の公平性をもたらすと同時に、チームが攻守のバランスをどう組み替えるかという戦略の面白さを生み出しています。

ローテーションの基本的な仕組み

ローテーションのルールは、コート上のポジションの番号と、ローテーションが発生するタイミングを理解すると整理しやすくなります。

回り方

バレーボールのコートは6つのポジション(P1〜P6)に分かれています。P1はバック右のローテーション位置で、この位置に回ってきた選手が次のサーバーになります。サーブを打つ際は、コート外のサービスゾーンへ移動します。

P1を起点として反時計回りにP2(フロント右)・P3(フロント中)・P4(フロント左)・P5(バック左)・P6(バック中)と番号が振られています。

P1〜P6はあくまでコート上のローテーション位置であり、特定の選手の役割を指すものではありません。セッター・アウトサイドヒッター・ミドルブロッカーといった選手は、ローテーションによってP1〜P6を順番に移動していきます。

ポジションコート上の位置説明
P1バック右次にサーブを担当する選手のローテーション位置
P2フロント右前衛右
P3フロント中前衛中央
P4フロント左前衛左
P5バック左後衛左
P6バック中後衛中央

ローテーションは「時計回り」に行われます。サーブ権を得たとき、P2にいた選手がP1へ、P3にいた選手がP2へ…というように全員が隣のポジションへ一つずれます。

P1にいた選手はP6へ回ります。ローテーション後にP1へ入った選手がそのラリーのサーブを打ちます。

サーブの順番

試合開始前に両チームはスターティングラインアップ(スタメンシート)を審判に提出します。このシートに記載されたポジションの順番が、そのセットを通じてのサーブ順になります。

一度決めたサーブ順は、セットが終わるまで変更できません。

ローテーションによって各ポジションのサーブ順が決まり、その順番にサーバーが回っていきます。ただし、守備専門のリベロはFIVBルールではサーブを打つことができません。6つのローテーションを一周すると、再び最初のサーブ順に戻ります。

状況ローテーションの有無
サーブ側のチームが得点したなし(同じ選手が引き続きサーブ)
レシーブ側のチームが得点し、サーブ権を取り戻したあり(時計回りに1ポジション移動してからサーブ)

ローテーションの反則

ローテーションに関する反則は、主に「正しい順番でサーブを打たなかった場合」と「サーブを打つ瞬間にレシーブ側のポジションが乱れていた場合」の2種類に分かれます。

ポジショナルフォルト

ポジショナルフォルトは、サーブが打たれる瞬間にレシーブ側の選手が規定された位置関係を守っていない場合に取られる反則です。反則となったチームは相手に1点と次のサーブ権を与え、正しい位置関係へ戻します。

なお、FIVBの2025-2028年版ルールでは、サーブ側の選手は、サーバーを除き自陣コート内であれば、ローテーション上の前後・左右の位置関係に縛られず自由に配置できます。

ローテーション上の位置関係を守る義務があるのはレシーブ側のみとなっています。FIVB公式ルール7.4にも「レシーブ側がrotational orderを守る」と明記されており、サーブ側は自由な位置を取れます。

レシーブ側に求められる位置関係のルールは以下のとおりです。

  • 前衛の選手(P2・P3・P4)は、対応する後衛の選手(P1・P6・P5)より必ずネット側にいなければならない
  • 右側の選手は中央の選手より右に、左側の選手は中央の選手より左にいなければならない
  • 前後・左右の位置関係は、サーブが打たれる瞬間に床へ接している足の位置で判定される。完全に横一列・縦一列になる必要はなく、規定された相対的な位置関係を保っていれば問題ない

サーブが打たれた後は、レシーブ側・サーブ側ともに選手は自由に動けます。これが「サーブが上がった瞬間にセッターがネット際へ走る」「リベロが前に出る」といったプレーが許されている理由です。現代のバレーボールでは、サーブ後の素早いポジション移動(スイッチ)が攻守の要になっています。

ポジショナルフォルトとは別に「ローテーションフォルト」という反則もあります。これは決められた順番とは異なる選手がサーブを打った場合に適用されます。

相手に1点と次のサーブ権が与えられ、サーブ順を正しい状態へ戻します。反則が始まった時点を特定できる場合は、それ以降に反則チームが獲得した得点も取り消されます。相手チームが獲得した得点はそのまま残ります。

ローテーションに関するよくある質問

バレーボール観戦に慣れてくると、ローテーションに絡んだ疑問が生まれやすくなります。よくある質問を解説します。

解説者がローテーションの説明をする際に口にする「S1」や「S2」って何のこと?

「S1」「S2」といった表記は、セッター(S)がコート上のどのポジションにいるかを示す略称です。セッターがP1(サーバー位置)にいる状態をS1、P2にいる状態をS2、以降同様にS3〜S6と呼びます。

バレーボールはセッターの位置によってチームの攻撃パターンが大きく変わるため、解説者はS1やS6と表現することで、現在どのローテーション状況にあるかをスムーズに伝えています。

呼び方セッターのポジションセッターの役割上の特徴
S1P1(バック右・サーバー位置)セッターがサーブを打つローテーション
S2P2(フロント右)セッターが前衛右に入る
S3P3(フロント中)セッターが前衛中に入る
S4P4(フロント左)セッターが前衛左に入る
S5P5(バック左)セッターが後衛左にいる
S6P6(バック中)セッターが後衛中にいる

5-1システム(セッター1人)のチームでは、セッターが後衛(P1・P6・P5)のローテーションでは前衛に3人のアタッカーを配置できるため、攻撃の選択肢が増えます。

一方、セッターが前衛(P2・P3・P4)の場合は前衛アタッカーが基本的に2人となる代わりに、セッター自身がツーアタックを狙ったり、ブロックに参加したりできます。

一般的に前衛3枚が揃うセッター後衛のローテーションを「強いローテーション」と呼ぶことがありますが、実際にどのローテーションが有利かは選手構成や相手とのマッチアップによって異なります。

審判はどうやってローテーションを把握している?

ローテーションの管理は、主に「第2審判(副審)」と「記録員」が担当します。

試合前に両チームが提出するスターティングラインアップシートには、P1〜P6に誰を配置するかが記載されています。このシートを基に、記録員はスコアシートにサーブ順を記録します。記録員は両チームのサーブ順を管理し、誤った選手が実際にサーブを打った場合は、その直後にブザーなどで審判へ知らせます。サーブを打つ前の段階では反則は成立していません。

第2審判はネット支柱の横に立ち、サーブ時にレシーブ側の選手のポジションを確認します。位置関係がルールに違反していれば笛を吹いてポジショナルフォルトを宣告します。

FIVB公式ルール24.3.2.2でも、第2審判の職務として「レシーブ側のポジショナルフォルト」が明記されています。国際大会では電子スコアシートも利用され、記録員がサーブ順や選手交代などをより正確に管理しています。

ミドルブロッカーがレセプションに参加しないのはなぜ?

現代のバレーボールでは、ミドルブロッカー(MB)はサーブレシーブ(レセプション)に加わらないのが一般的です。その理由は「役割の分担」と「攻撃のスピード」にあります。

ミドルブロッカーはネット際でのブロックと、センターからの速攻(クイック攻撃)を主な役割とします。速攻は助走のタイミングが命で、レシーブを拾ってからでは間に合いません。そのため試合中、MBはレセプションには加わらず、サーブ直後から速攻の助走準備へ移ります。

また、5-1システムでは後衛にいるMBをリベロと交代させるチームが多く、後衛局面でMBがコートにいないケースもあります。リベロはレシーブや守備を専門とする選手であり、一般的にMBよりも守備を得意とするため、後衛ではリベロに任せた方がチームとして有利です。

MBがレセプションに加わらない主な理由は以下の2点です。

  • 速攻のための助走に集中する必要があり、レシーブと同時にこなすのが困難なため
  • 後衛ではリベロと交代し、レシーブをより得意な選手に任せることでチーム全体の守備力を上げるため

これはルールで禁止されているわけではなく、チームの戦術的な選択です。レシーブ力の高いMBが限定的にレセプションに加わるケースも一部のチームでは見られます。

※本記事はFIVBの6人制バレーボールルール(2025-2028年版)を基準に解説しています。大会や競技団体によっては独自ルールが採用される場合があります。