W杯における個人ゴール数の大会記録は?日本代表の記録も紹介
W杯通算ゴール数の歴代記録と並んで語り継がれるのが、「1大会で何ゴール決めたか」という単一大会記録です。
たった6〜7試合で2桁ゴールを叩き出した伝説の選手たちのスコアは、現代サッカーの常識では想像を絶する数字となっています。
本記事ではW杯1大会における個人ゴール数のTOP5、日本代表の1大会個人ゴール数記録、そして2026年北中米W杯で得点王争いに名乗りを上げる注目ストライカーをまとめて解説します。
サッカー史に刻まれた驚異の得点記録の世界をのぞいてみましょう。
W杯1大会における個人ゴール数のTOP5
W杯1大会における個人ゴール数の歴代TOP5は以下のとおりです。1位は1958年スウェーデン大会のジュスト・フォンテーヌが叩き出した13ゴール。
半世紀以上たった現在も破られていないW杯不滅の記録です。
| 順位 | 選手名 | 国籍 | 得点 | 大会 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | ジュスト・フォンテーヌ | フランス | 13点 | 1958年スウェーデン大会 |
| 2位 | シャーンドル・コチシュ | ハンガリー | 11点 | 1954年スイス大会 |
| 3位 | ゲルト・ミュラー | 西ドイツ | 10点 | 1970年メキシコ大会 |
| 4位 | エウゼビオ | ポルトガル | 9点 | 1966年イングランド大会 |
| 4位 | アデミール | ブラジル | 9点 | 1950年ブラジル大会 |
| 5位 | ギジェルモ・スタービレ | アルゼンチン | 8点 | 1930年ウルグアイ大会 |
| 5位 | ロナウド | ブラジル | 8点 | 2002年日韓大会 |
| 5位 | キリアン・エムバペ | フランス | 8点 | 2022年カタール大会 |
1位 ジュスト・フォンテーヌ 13点(フランス)
サッカー史上最も衝撃的な得点記録を持つのが、フランス代表のジュスト・フォンテーヌ。1958年スウェーデン大会で出場したわずか6試合すべてで得点を記録し、ハットトリックを2度達成して通算13ゴールを叩き出しました。
1試合あたり平均2.17ゴールという計算で、現代サッカーでは到底考えられない数字です。1大会だけでW杯通算ゴール数ランキングのTOP5にも名を連ねる稀有な存在で、66年以上たった現在もこの13ゴールという記録は破られていません。
フォンテーヌは2023年に89歳で他界しましたが、彼の偉業は永遠にW杯史に刻まれ続けるでしょう。なおフランスはこの大会で3位入賞しています。
2位 シャーンドル・コチシュ 11点(ハンガリー)
1954年スイス大会で11ゴールを記録したのが、ハンガリー代表のシャーンドル・コチシュ。「黄金チーム」と呼ばれた当時のハンガリー代表の中心選手で、卓越したヘディング能力から「黄金の頭」と称されました。
同大会では西ドイツ戦で4ゴール、初戦の韓国戦で3ゴールというハットトリック2度を含む驚異的な得点ペースを記録。しかし大会決勝(通称「ベルンの奇跡」)では西ドイツに2-3で敗れて準優勝に終わり、優勝には届かなかった悲運の天才ストライカーです。
コチシュは1979年に45歳で他界しましたが、彼の11ゴールは70年以上たった現在も2位に君臨し続けています。
3位 ゲルト・ミュラー 10点(西ドイツ)
「爆撃機」の異名で知られる西ドイツ代表のゲルト・ミュラーが、1970年メキシコ大会で記録した10ゴールが歴代3位。ペナルティエリア内での嗅覚と決定力に優れた典型的な「9番タイプ」のストライカーで、メキシコ大会では6試合で10ゴールを量産。
ブルガリア戦でハットトリック、ペルー戦でもハットトリックを記録するなど、爆発的な得点ペースを見せました。準決勝でイタリアに敗れて4位に終わったものの、大会得点王に輝き、その後の1974年自国開催W杯では決勝オランダ戦で決勝点を含む4ゴールを挙げて優勝に貢献。
バイエルン・ミュンヘンでのブンデスリーガ通算365ゴールという伝説的な数字も含め、サッカー史上屈指のフィニッシャーです。
4位 エウゼビオ 9点(ポルトガル)
ポルトガル代表の伝説エウゼビオが1966年イングランド大会で記録した9ゴールが歴代4位。エウゼビオは「黒豹」「黒い真珠」と称されたモザンビーク出身の天才ストライカーで、卓越したスピードとシュート技術で世界を魅了しました。
同大会では準々決勝の北朝鮮戦で4ゴール(PK2本含む)を決め、0-3から5-3への大逆転勝利を演出。ポルトガルを3位入賞へと導きました。1962年バロンドール受賞者でもあり、ベンフィカで欧州王者に輝いた経歴を持つ、ポルトガルサッカー史上最高の選手の一人です。
4位 アデミール 9点(ブラジル)
1950年自国開催の第4回ブラジル大会で9ゴールを叩き出したのが、ブラジル代表のアデミール・マルケス・デ・メネゼス(通称アデミール)。「ケイショ・ジ・オーロ(黄金の歯)」の愛称で親しまれ、グループステージのスウェーデン戦・スペイン戦で各4得点というハットトリック超えを記録するなど驚異的な得点ペースを見せました。
しかし最終戦のウルグアイ戦でブラジルは1-2で敗れ、本国民が「マラカナンの悲劇」と呼ぶ歴史的敗戦に。アデミール自身は大会得点王に輝いたものの、優勝には届かない悲運に見舞われました。それでも1950年大会の主役のひとりとして、サッカー史に名を刻む存在です。
5位 ギジェルモ・スタービレ 8点(アルゼンチン)
記念すべき第1回W杯となった1930年ウルグアイ大会で8ゴールを記録した、アルゼンチン代表のギジェルモ・スタービレが歴代5位タイ。「エル・フィルマンテ(射撃手)」の異名で知られたスタービレは、グループステージのメキシコ戦でいきなりハットトリックを達成(W杯史上初のハットトリック)し、その後も得点を量産。
決勝戦のウルグアイ戦でも1ゴールを記録しましたが、アルゼンチンは2-4で敗れて準優勝に終わりました。それでも記念すべき第1回大会の得点王として、W杯史の幕開けを彩る存在となりました。
5位 ロナウド 8点(ブラジル)
「怪物(フェノメノ)」の異名で世界を席巻したブラジル代表のロナウドが、2002年日韓大会で記録した8ゴールも歴代5位タイ。1998年大会の決勝当日の体調不良問題で雪辱を期した同大会では、グループステージから決勝までほぼすべての試合で得点を記録。
決勝戦のドイツ戦で2ゴールを決めて優勝を決定づけ、自身は大会得点王・優勝・MVPの三冠を達成しました。W杯本大会で目立った活躍ができなかった選手も多いなか、決勝で2ゴールを挙げて頂点に立つというパフォーマンスは、サッカー史上最も完璧なW杯のひとつです。
なお、上記の5位タイには2022年カタール大会でキリアン・エムバペ(フランス)も8ゴールを記録して肩を並べています。決勝アルゼンチン戦でハットトリックを達成し、敗れはしたものの大会得点王に輝いた23歳の活躍は、W杯1大会得点記録の歴史に新たな1ページを刻む偉業となりました。
日本代表のW杯1大会における個人ゴール数TOP5
日本代表のW杯1大会個人ゴール数の最多記録は2点で、これまで4選手が達成しています。世界の伝説的ストライカーたちと比べれば控えめな数字ながら、それぞれのゴールが日本サッカー史を彩る名場面と直結しています。
| 順位 | 選手名 | 得点 | 大会 | 得点を決めた試合 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 稲本潤一 | 2点 | 2002年日韓大会 | ベルギー戦・ロシア戦 |
| 1位 | 本田圭佑 | 2点 | 2010年南アフリカ大会 | カメルーン戦・デンマーク戦 |
| 1位 | 乾貴士 | 2点 | 2018年ロシア大会 | セネガル戦・ベルギー戦 |
| 1位 | 堂安律 | 2点 | 2022年カタール大会 | ドイツ戦・スペイン戦 |
1位 堂安律(2ゴール)
2022年カタール大会で世界中の話題をさらった堂安律の2ゴール。第1戦のドイツ戦で後半30分に途中出場すると、後半30分に同点ゴール、第3戦のスペイン戦でも途中出場から後半3分に同点ゴールと、いずれも「ジャイアントキリング」の流れを引き寄せる起点となるゴールでした。両試合とも逆転勝利の口火を切る決定的な仕事で、日本代表のグループステージ突破(首位通過)の最大の功労者の一人です。
途中出場でも結果を出せる「ジョーカー」としての存在感を世界に示しました。2026年北中米W杯にもアイントラハト・フランクフルト所属の主力として参戦中で、本田圭佑の通算4ゴール記録を視野に入れる存在です。
1位 乾貴士(2ゴール)
2018年ロシア大会で日本代表の「ベスト16進出」を支えた乾貴士。第1戦のセネガル戦で後半33分に同点ゴール、決勝トーナメント1回戦のベルギー戦でも後半24分に美しいミドルシュートで先制点(チーム2点目)を記録するなど、攻撃のキープレーヤーとして躍動しました。
特にベルギー戦のミドルは、世界トップクラスのGKティボ・クルトワを打ち破る完璧なシュートで、世界中のサッカーファンから称賛を浴びました。テクニックとパスセンスを兼ね備えた左利きのアタッカーとして、ロシア大会の日本代表の「ベスト16」進出に貢献しました。
1位 本田圭佑(2ゴール)
2010年南アフリカ大会で日本代表のエースとして躍動した本田圭佑も、同大会で2ゴールを記録。第1戦のカメルーン戦の決勝点は日本のW杯海外開催勝利初を決定づけたゴール、第3戦のデンマーク戦の先制FKは絶対的に必要な勝利を引き寄せた魂のキックでした。
デンマーク戦のFKは無回転の魔球と称され、世界中のメディアで「W杯歴代屈指のFK」として絶賛されました。本田はその後2014年ブラジル大会・2018年ロシア大会でも各1点を記録し、3大会連続得点・通算4ゴールという日本人最多記録を打ち立てています。
1位 稲本潤一(2ゴール)
2002年自国開催の日韓W杯で活躍したのが稲本潤一。グループステージ第2戦のロシア戦で後半6分に決勝点を決め、日本のW杯本大会初勝利を歴史的に決定づけました。続く第3戦のチュニジア戦も日本が2-0で勝利して決勝トーナメント進出。実は稲本は第1戦ベルギー戦でも1ゴールを記録しており、合計で2ゴール。
当時22歳の中盤からの飛び出しから記録した両ゴールは、自国開催の熱狂を最大限に引き出した立役者となりました。MFながら2試合連続でW杯ゴールを記録したのは日本人MF唯一の偉業です。
今大会の注目ストライカーは?
2026年北中米W杯でゴールを量産する有力候補として、世界中のサッカーファンや専門家・ブックメーカーが注目するストライカーをピックアップして紹介します。
| 選手名 | 国籍 | 所属クラブ | 2026年大会前のW杯通算 |
|---|---|---|---|
| キリアン・エムバペ | フランス | レアル・マドリー | 12点(2大会得点王) |
| ハリー・ケイン | イングランド | バイエルン・ミュンヘン | 8点(2018大会得点王) |
| アーリング・ハーランド | ノルウェー | マンチェスター・シティ | 0点(W杯初出場) |
キリアン・エムバペ(フランス)
は2026年大会で得点王連覇を狙う本命候補。2018年ロシア大会で19歳の若さで4ゴール(決勝でも得点)、2022年カタール大会では決勝アルゼンチン戦のハットトリックを含む8ゴールで大会得点王に輝きました。
2022年大会の8ゴールはW杯1大会記録の歴代5位タイにも入る数字で、もし今大会で2大会連続得点王を達成すれば、史上初の偉業を打ち立てることになります。レアル・マドリードでのキャリアハイの今シーズン42ゴールという成績も、大舞台での得点感覚の鋭さを物語っています。
ハリー・ケイン(イングランド)
はW杯通算8ゴールのベテランストライカー。2018年ロシア大会で6ゴールを挙げて大会得点王に輝き、その後イングランド代表の絶対的エースとして君臨し続けています。バイエルン・ミュンヘン移籍後もブンデスリーガで得点を量産し続け、得点感覚の衰えは一切感じられません。
イングランドが優勝候補3位にランクされる強豪に成長したのは、ケインという絶対的フィニッシャーがいるからこそ。本大会で6〜8ゴール上積みすれば、W杯通算16ゴールのクローゼ超えも視野に入る位置です。
アーリング・ハーランド(ノルウェー)
は2026年大会が初のW杯出場となる25歳のスーパーフィニッシャー。マンチェスター・シティで世界最強のストライカーとして君臨し、195cmの長身と圧倒的なフィジカル・スピード・決定力を兼ね備えた現代型FWの代表格です。
ノルウェーは1998年フランス大会以来28年ぶりのW杯出場で、ハーランドにとっては待ちに待った大舞台。予選では8試合で16ゴールという尋常でない数字を残しており、初出場で大会得点王争いに名乗りを上げる可能性は十分にあります。ノルウェーのグループステージ突破の鍵を握る存在です。
2026年大会では、ジュスト・フォンテーヌの不滅の記録「13ゴール」を脅かす存在こそ現れにくいものの、エムバペ・ケイン・ハーランドという3者が大会得点王の座を巡って熾烈な争いを繰り広げます。日本代表の堂安律ら現役選手もW杯個人記録の更新を狙いつつ、世界最高峰のストライカーたちのゴールパレードに注目しましょう。