総額275億円も? 2025年オフMLB移籍を目指すNPB選手たち
2025年オフシーズン、日本プロ野球からメジャーリーグへの移籍を目指す選手たちに熱い視線が注がれています。
MLB公式サイトは11月4日(日本時間5日)、「2026 注目すべきNPB選手」と題した特集記事を掲載しました。
MLBネットワークのジョン・モロシ記者は、野茂英雄、イチロー、松井秀喜、松坂大輔、ダルビッシュ有、大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希といった名だたるスターに続く「新たな波」が到来すると紹介しています。
今オフの国際マーケットのキーワードは「パワー」です。
史上最年少三冠王の村上宗隆選手、巨人の主砲・岡本和真選手、そして最速160キロを誇る今井達也投手など、多くの有力選手がメジャーの舞台に挑戦します。
NPB最注目の2大スラッガー
東京を本拠地とする2球団から、それぞれの看板打者がポスティングシステムを利用してMLB移籍を目指します。
ヤクルトの村上宗隆選手と巨人の岡本和真選手は、対照的な特徴をもつ強打者として、MLB球団から高い評価を受けています。
村上宗隆(ヤクルト)~史上最年少三冠王の大型契約~
東京ヤクルトスワローズの三塁手、村上宗隆選手は2025年オフにポスティングシステムを利用してメジャー挑戦を表明しました。球団も移籍を容認する姿勢を示しています。
村上選手は2022年、史上最年少で三冠王に輝きました。同年には日本人最多記録となる56本塁打を放ち、NPB屈指の強打者として名を馳せています。
近年、投高打低のNPBにおいて、毎年タイトル争いに絡む実績を積み重ねてきました。
国際大会でも主軸を任される存在です。2023年のワールド・ベースボール・クラシックでは日本代表の中心選手として活躍し、チームの優勝に貢献。
MLBスカウトは村上選手のパワーに熱い視線を送っています。米移籍情報サイトでは日本人選手トップの4位にランク付けされ、8年総額1億8000万ドル(約275億円)の契約が予想されています。
移籍先候補として有力視されるのは、フィリーズとマリナーズの2球団です。フィリーズはFAとなっているカイル・シュワーバー選手が退団すれば、三塁またはDHでの起用が見込まれます。
マリナーズもFAのジョシュ・ネイラー選手と再契約できなければ、一塁候補として最適な選手となるでしょう。
村上選手が大型契約を獲得できる理由は、2026年シーズン開幕時に26歳という若さに加え、左打ちの長距離砲として希少価値が高いためです。
MLB球団の多くが左打ちのパワーヒッターを求めており、村上選手はまさに理想的な獲得ターゲットとなっています。
岡本和真(巨人)~伝統の球団がついに解禁~
読売ジャイアンツの内野手、岡本和真選手はポスティングシステムを利用してMLB移籍を目指す方針を発表しました。
基本的にポスティング移籍を容認してこなかった巨人が、ついに重い扉を開いた形になります。
29歳の右打者である岡本選手は、NPBで通算248本塁打を記録しています。2018年から2023年まで6年連続で30本塁打以上を放ち、2023年にはキャリアハイの41本塁打をマークしました。
2025年は負傷の影響で77試合の出場にとどまりましたが、復帰後はOPS(出塁率+長打率)1.000超、15本塁打という高い数値を残しています。NPBでの通算成績は打率.277、出塁率.361、長打率.521と安定した数字を誇ります。
岡本選手は侍ジャパンの一員として、2023年のワールド・ベースボール・クラシック決勝で存在感を発揮しました。米国代表のカイル・フリーランド投手から四回に本塁打を放つなど、大会では2本塁打、7打点、8四球、OPS1.278と活躍し、日本の3度目のWBC優勝に大きく貢献。
MLB公式サイトが発表した今オフのFA選手トップ30では16位にランクインしています。移籍先候補として挙げられるのは、メッツ、タイガース、カブス、ヤンキースなどです。
特にタイガースは2025年の三塁手OPSがア・リーグ最低の.628であり、三塁補強が急務となっています。メッツはピート・アロンソ選手がFAとなったため、内野の補強を検討しているでしょう。
米データサイトでは4年総額110億円(約7300万ドル)、または別の予想では81億円と見積もられています。
巨人がポスティングを容認した意味は大きいです。過去に松井秀喜選手、菅野智之投手らは海外FA権を利用してMLBに移籍しました。
岡本選手は会見で「MLBは世界一のリーグだと思うので、僕もそこでプレーしたいなと思ってやってきた」と語り、長年の夢を実現する決意を示しています。
村上 vs 岡本~MLB公式の比較分析~
MLB公式サイトは、村上選手と岡本選手を比較する興味深い分析を掲載しました。
ジョン・モロシ記者は「村上は左打ちでよりパワーがあり、岡本は右打ちで守備が優れている」と説明しています。
左打ちでより強烈なパワーを誇る村上選手に対し、岡本選手は守備指標で優位に立つ形です。
守備面では三塁が中心の岡本選手は、アラミス・ラミレス選手やビニー・カスティーヤ選手と比較されるタイプとされています。一方、村上選手はサードのほか、外野守備の練習にも励んでおり、ポジションの柔軟性を高めています。
MLBスカウトたちは長年にわたって岡本選手を観察してきました。復帰後のOPS1.000超という圧巻の数字は、メジャーでも通用するパワーを証明しています。
村上選手のほうが大型契約を獲得できると見られる理由は明確です。
第一に、2026年シーズン開幕時に26歳という若さが挙げられます。岡本選手より3歳若く、長期契約を結ぶうえで有利な年齢です。
第二に、左打ちの長距離砲を求める球団が多いという市場の需要があります。MLB球団にとって左打ちのパワーヒッターは希少価値が高く、特に若い左打者は球団が積極的に獲得を目指す存在となっています。
両選手とも日本を代表する強打者であり、メジャーの舞台でどのような活躍を見せるのか、大きな注目が集まっています。
投手陣の目玉たち
打者だけでなく、投手陣からも有力な選手がメジャー挑戦を目指しています。
最速160キロを誇る剛腕投手から、実績十分のベテラン投手まで、多彩な顔ぶれが揃いました。
今井達也(西武)~ネクスト山本由伸~
埼玉西武ライオンズの速球派右腕、今井達也投手は2025年オフのメジャー移籍が噂されています。西武球団もポスティングシステムでの移籍を容認する方向で調整を進めています。
今井投手の最大の武器は、最速160キロを記録する伸びのある速球です。2025年シーズン中に自己最速を更新し、NPB屈指の速球派右腕として評価を高めました。切れ味鋭いスライダーも持ち球とし、左打者にはスプリットを織り交ぜて打者を翻弄します。
2025年シーズンは20先発で被本塁打わずか4本という驚異的なスタッツを残しました。制球はアバウトな面もありますが、球威で打者を圧倒できる投手です。2年連続でオールスターに選出され、ノーヒッターを達成するなど、好投を重ねました。
MLB公式サイトのFAランキングでは11位に選出されています。「次の山本由伸」「日本で過小評価されている」と高評価を得ており、MLB入り時の評価はメッツと契約した千賀滉大投手(5年7500万ドル)と同等かそれ以上とされています。
移籍先候補として挙げられるのは、ヤンキース、パドレス、メッツ、サンフランシスコ・ジャイアンツなどです。特にジャイアンツが有力候補とされています。西武は過去に松坂大輔投手や菊池雄星投手を送り出しており、MLB球団との関係も深い球団です。
ただし、すでに西武がポスティングシステムでのメジャー挑戦を容認した高橋光成投手との兼ね合いで、「ライオンズは(移籍を)見送る可能性がある」とも伝えられています。球団の判断に注目が集まります。
高橋光成(西武)~遅れた挑戦のジレンマ~
埼玉西武ライオンズの投手、高橋光成選手は球団がポスティングシステムを利用したメジャーリーグ挑戦を認め、手続きを開始すると発表しました。
長年チームを牽引してきた先発投手である高橋投手は、かねてよりMLB移籍への強い意欲を表明してきました。2022年オフには既にメジャー挑戦の希望を球団に伝えていましたが、海外FA権の取得は2026年シーズン中の見込みでした。
2021年から2023年にかけて3年連続2桁勝利を挙げるなど、実力派投手として知られています。最速157キロの速球に加え、フォーク、スライダー、カットボールを操ります。特にフォークを決め球とし、高い奪三振率を誇る本格派右腕です。
しかし、ポスティングが遅れたことで大型契約のチャンスはやや遠のきました。2022〜23年にピークを迎えていた高橋投手ですが、2024年は0勝11敗、防御率3.87と不調に終わりました。2025年は立て直したものの、三振率が物足りない状態が続いています。
野球ジャーナリストのユリ・カラサワ氏によれば、西武が高橋投手を今オフにポスティングする理由の一つは、国内FA権を得たためです。ポスティングであれば球団に金銭的補償が入るため、球団側にもメリットがあります。
高橋投手自身は挑戦に感謝と意欲を示していますが、メジャー契約を勝ち取れるかは不透明な状況です。29歳という年齢と近年の成績を考慮すると、今井投手のような大型契約は難しいかもしれません。
なお、ポスティングについては以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
ポスティングシステムとは?資格や条件、仕組みを解説
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MLB復帰を目指す元メジャーリーガー
NPBで活躍する元メジャーリーガーたちも、MLB復帰を視野に入れています。
日本球界での成功を足がかりに、再びメジャーの舞台に挑む選手たちに注目が集まります。
有原航平(ソフトバンク)
福岡ソフトバンクホークスの有原航平投手は、元メジャーリーガーとしてMLB復帰を目指す可能性があります。
有原投手は2021年にテキサス・レンジャーズと2年620万ドル(約9億5500万円)で契約しました。MLBでは15試合に登板しましたが、肩の動脈瘤で離脱し、期待を下回る結果となりました。2022年はマイナー3Aが主戦場となり、2023年にNPBへ復帰しました。
日本球界復帰後は安定した成績を残しています。長身から放たれる150キロ中盤の速球と多彩な変化球を武器とした投球が持ち味です。2024年から2年連続で最多勝を獲得し、3年連続二桁勝利を達成。
2025年の日本シリーズ第1戦では6回2失点、無四球と好投し、実力を証明しました。
2025年シーズン終了後に3年契約が満了するため、このオフは完全な国際FA選手としてポスティング料なしでMLB移籍が可能です。
球団側に金銭的な補償を支払う必要がないため、MLB球団にとっては獲得しやすい選手といえるでしょう。
33歳というベテランの年齢ですが、日本球界での安定した実績を武器にMLB復帰を目指すかもしれません。
グリフィン(巨人)、ケイ(DeNA)
MLB公式サイトは、日本球界で活躍する外国人投手たちにも言及しています。
読売ジャイアンツのフォスター・グリフィン投手は、トミー・ジョン手術(2020年)を経て巨人で先発として復活したアメリカ人左腕です。2025年は膝の打撲で数試合を欠場したものの、防御率1.62と圧巻の成績を残しました。
ファンサイト「FanSided」でのインタビューによれば、グリフィン投手は現在7種類の球種を操り、スプリットも2023年に習得したそうです。30歳という年齢ですが、日本球界での成功を足がかりにMLB復帰を狙える実力を備えています。
横浜DeNAベイスターズのアンソニー・ケイ投手は、2019〜23年にブルージェイズ、カブス、メッツで通算44試合に登板した元メジャー投手です。
来日2年目の2025年はツーシームとカーブを加え、制球が大幅に改善しました。31歳のケイ投手は今オフFAとなり、再びMLB復帰を目指すか、日本球界に残るかが注目されます。
両投手とも日本球界で実績を積み上げており、MLB球団が再評価する可能性は十分にあるでしょう。
将来MLB挑戦が見込まれる有望株
2026年オフ以降も、多くの日本人選手がメジャー挑戦を目指すと見られています。
若手からベテランまで、実力と年齢を兼ね備えた選手たちが次の世代の挑戦者として控えています。
才木浩人(阪神)~将来有望な本格派右腕~
阪神タイガースの才木浩人投手は、すでに今オフのポスティング移籍見送りが決定しました。
しかしMLB公式サイトは「MLBファンは彼の名前を覚えておくべき」と評価しています。
才木投手は日本シリーズ敗退直後の今オフにポスティングされる可能性は低いものの、将来的にMLB移籍が有力な投手の一人です。2020〜21年をトミー・ジョン手術で棒に振りましたが、その後4年間で計490イニング超を投げ、防御率1.71を記録しました。
最速156キロの速球とフォークを武器に、抜群の制球力を誇ります。27歳という年齢を考えると、2026年以降のメジャー挑戦が現実的でしょう。
宮城大弥(オリックス)~完成度の高いサウスポー~
オリックス・バファローズの宮城大弥投手は、高い完成度を誇るサウスポーです。
171センチと小柄ながら、最速155キロの直球と多彩な変化球を操り、高い制球力と緩急で打者を翻弄します。
牽制やクイックも一級品で、毎年安定した成績を残しています。MLB球団からは毎年スカウトが訪れており、メジャーでも通用する力のある投手です。
同世代の佐々木朗希投手がMLBに移籍したため、影響を受けている可能性も高いでしょう。
25歳ルール適用外となる2026年オフ以降にポスティング制度による移籍が予想されます。
高橋宏斗(中日)~若き速球派の期待株~
中日ドラゴンズの高橋宏斗投手は、若き速球派右腕です。
最速158キロの速球に加え、落差の大きいスプリットを操ります。カットボールも交え、高い奪三振能力を誇る投手です。
制球力も高いため失投が少なく、2024年の被本塁打はわずか1本でした。2022年にデビューしたためNPBの実績は少ないものの、年々成績を向上させており、国際大会でも活躍しています。
メジャー移籍については明言していませんが、実力と年齢を考慮すると将来的にMLBへ移籍する可能性があります。
佐藤輝明(阪神)~ポテンシャル秘めた若手スラッガー~
阪神タイガースの佐藤輝明選手は、将来が期待される若手スラッガーです。
2021年にデビューしてから阪神の中心選手として活躍しています。
スイングスピードはNPB屈指の速さを誇ります。2025年3月のカブス・ドジャース戦では、サイヤング賞投手のブレイク・スネル投手から決勝3ランを放つなど活躍しました。
実績的にはやや不十分な印象ですが、2024年オフにはMLBへの意欲を示しています。今後の活躍次第では、メジャー移籍が実現するかもしれません。
その他の注目選手
上記に挙げた選手以外にも、MLBへ挑戦が噂される選手がいます。
楽天ゴールデンイーグルスの辰己涼介選手は、俊足と強肩の外野手。2019年のプロ入りからチームの主力として活躍を続けており、俊足と強肩を生かした外野守備は一級品とされています。
ポスティングでのMLB挑戦を希望し、球団との交渉が続いています。
西武ライオンズの平良海馬投手も注目選手の一人です。最速160キロの剛腕投手で、球種が多彩な点が特徴となっています。制球もまとまっており、NPBトップレベルのリリーバーです。先発転向も視野に入れており、2026年シーズンの先発転向を表明しています。
まとめ
2025年オフシーズン、日本プロ野球からメジャーリーグへの大きな波が押し寄せています。
村上宗隆選手、岡本和真選手、今井達也投手を筆頭に、多くの有力選手がポスティングシステムを利用してMLB移籍を目指します。
野茂英雄選手、イチロー選手、松井秀喜選手、松坂大輔選手、ダルビッシュ有選手、大谷翔平選手、山本由伸選手、佐々木朗希選手といった名だたるスターたちに続く新たなストーリーが、今まさに始まろうとしています。
日本球界のヤンキースとも称される読売ジャイアンツがついに重い扉を開き、球団の看板打者をポスティングシステムでメジャーリーグへ送り出す決断をしました。球界の常識が変わりつつあるでしょう。
2026年オフには、さらに多くの一流投手たちがメジャー挑戦へと名乗りを上げる可能性が高いです。才木浩人投手、宮城大弥投手、高橋宏斗投手など、将来有望な選手たちが控えています。
日本人選手のMLB挑戦は、2026年以降も続く見込みです。
世界最高峰のリーグで、日本の選手たちがどのような活躍を見せるのか、大きな期待が寄せられています。